2025ENTRY

ENGINEERING DISCUSSION技術部座談会

※2022年7月インタビュー

――それでは、最初に所属部署と仕事内容について教えてください。

TH

私は技術部で部長を務めています。
技術部の仕事内容は、お客様のニーズに応えられるものづくりを目的に開発・設計・評価を主な業務としています。
設計初段の検討から、製品化に必要な設計、試験等まで、形の無い状態から動くものになるまで携われるのが当部署の面白いところだと思います。

HT

私は技術部開発課に所属しています。
製品開発における構想、基礎設計を行い、その設計に対する評価を行います。最近では新しいデジタルエアタワーの設計を行っていますが、今までに販売している構造とは全く異なる設計要求だったため、設計情報がゼロの状態から今回要求されている構造の特性を実験で把握し、タイヤ空気圧をコントロールする新しい方法を考え設計を行いました。
その後試作品を製作し、設計意図にあった動作をしているのか、誤った動作をしないかどうかの評価を行いました。次にコスト削減や品質向上のために、部品変更を行って問題がないかどうか、各種試験を行って良否の判断をいたします。例えば、現製品のホースの耐久性に問題があったため、材質変更品の評価依頼がありました。耐圧試験やホースの構造確認を行い、部品を変更して問題がないか判断を致しました。

HK

私は技術部開発課に所属しています。開発課は、名前の通り新製品開発がメインの仕事です。
お客様の価値、喜びを製品という形に変える仕事です。また開発前には、研究も必要です。原理や機構、形状により、どのような機能を得られるかの基礎実験も行っています。

――次に、ヤマダの技術部の良さを教えてください。

HK

当社は人で例えるなら、まじめで、素直で、人が良く、地道にコツコツというタイプです。ヤマダは創業117年のメーカーであるため、技術のノウハウが他社よりも多くあります。
衰退してしまった技術であっても基礎技術は同じであるなど、現代においても成り立つことが多くあります。情報、知識、経験があることは技術者としては心強いと感じています。

HT

当社の技術部では、自分自身の進め方で自由に設計することができます。そのため、完成した時にはとても満足感を得ることができます。
また相反しますが、研究テーマに関して、数人のチームで取り組み、研究テーマを進めます。個人の力のみではなく、みんなと協力しあい1つのことを完成させることができるため、チーム全員でうれしさを共感することができます。

――ありがとうございます。また、ヤマダの技術部ではフロントローディングに力を入れていると聞きました。フロントローディングについて具体的に教えて下さい。

TH

フロントローディングとは、設計の初期に多くの検討やシミュレーションを導入する事で、手戻り等のロスを削減する開発手法になります。大切な事は、情報を柔軟に共有できる仕組みです。そのために「設計のデジタル化」と「設計の思想の標準化」ツールを使用して進めています。
現在、その取り組みに向かって技術部員が取り組んでおりますが、各チームの取り組みにオリジナリティがあり、それが許容、整合されるところが、当社の技術部の良いところだと思います。

――では次に、現在までに担当した仕事の中で印象的な仕事、経験について教えてください。

HT

不具合が発生していた製品の評価を行い、部品における形状、寸法、硬度等の設計の見直し、生産においてばらつきが出ないような組立工程の見直しを行いました。
実験等の評価においては良好な結果となっておりましたが、実績がないとやはり不具合が再発するのではないかと心配でした。しかし、変更後の1年間に不具合情報がなく、とても安心したことと、製品を良くすることができてうれしく思ったことが強く印象に残っています。

HK

入社半年で開発を任されましたが、発売後に多くのクレームを発生させてしまいました。
しかし、営業の方とお客様へ訪問し、修理対応したところご迷惑を掛けたにも関わらずに感謝のお言葉を頂きました。この経験により、多くの方に支えられ、そしてお客様のためにものづくりをしていることを強く感じました。他が出来ないことを実現することが、やりがいであり大変であり、自分の価値だと考えています。

TH

私は市場動向の変化、働き方の変化等も含めて、外部ベンダー等と情報交換をしながら設計のデジタル化の目的、効果を考え変革を進めました。
しかし、新しい設計環境は、これまでの考え方を切り替える必要があるため、新しいツールに対し、使いにくい、わかりにくい・・・という悲鳴はあります。
まだ道半ばですが、変えたことが良かった!となる日はもうすぐだと思います。

――ヤマダの技術部では様々なツールを導入しているのですね。どのようにツールを活用しているか具体的に教えてください。

HK

一部ですが、以下のツールを使用しています。
Solidworks:3DCADツール。モデル、図面作成に使用
Solidworks Simulation:簡易CAEツール。構造シミュレーション。
IJCAD:2DCADツール。Simulation X:1DCAEツール。形状を伴わない要素シミュレーション。
Ansys:CAEツール。3Dデータによる構造、流体シミュレーション。3Dスキャナー:3Dモデル測定ツール。
3Dプリンター:簡易3Dモデル製作ツール。
データーロガー:データ集積装置。試験データの収録。
恒温槽:環境試験装置。温度を変化出来る部屋。

上記は作業ツールで、開発手法のツールもたくさんあります。ツールとは道具。何をするべきか、何がしたいかに合わせて選択して使います。
まず開発では、実現したい機能や性能を定めるために、形状を伴わない1DCAEにて性能設計を実施します。理想条件下での性能をシミュレーションすることにより、開発するべき範囲を絞ります。
その後、絞られた範囲にて設計要件を検討して3DCAD、3DCAEにて、形状を付けた状態にて詳細検討を実施します。
その後、ようやく試作製造として現物を作ります。現物ができると動作確認に移行しますが、その前に、3Dスキャナーにて図面通りものであるかを測定します。寸法形状が分かった状態で、データーロガーや恒温槽など条件を与えたりデータを収集したりします。
上記のように開発の手順の中で、必要なことに合わせてツールを活用しています。

――最後に、技術部をめざす学生にメッセージをお願いします!

HT

技術部は機械を触ることが多いので、自転車、バイク、自動車など機械を触ることが好きな方や、何か興味があればどっぷりはまってしまう方が技術部に向いていると思います。また、何に対しても最後まであきらめることなく、やり抜く気力がとても大事だと思います。

HK

技術というと最先端のことをイメージしますが、何事においても基礎が大切です。勉学においても、難しい定理や公式よりも、どのように求められるのかの過程や意味を理解することを意識されると、社会人になったときに役に立ちます。

TH

技術者にとって最も大切な能力は、技術的知見より、コミュニケーション能力です。目的を形にするには、話を理解して整然と捉えることができて、初めて技術的知見が生かされます。“技術者として一緒に社会に進んでみませんか?”という気持ちを共鳴できる会社と出会えれば、あなたに合う技術系の会社だと思います。良い会社に巡り合えると良いですね。頑張ってください!!

座談会参加者

  • TH技術部部長
  • HT技術部開発課
  • HK技術部開発課